これってどのくらいでできます?
お店にあるタティングキットの見本のディスプレイを見て『これってどのくらいでできます?』とよく訊かれますが、この質問に答えるのはとても難しいです。
手仕事なので『人によって違います』としか言いようがありません。
『あなたはどのくらい掛かりました?』なら答えようがありますが、1日のうちタティングに掛けられる時間は人それぞれですし、慣れ具合によっても速さは違うからです。
下のバッグ、私なら仕事をしながら1週間くらいでできます。仕事として作るなら4日くらいでしょう。
簡単な四つ葉ですから、1つ何分でできるか×モチーフ数=作業時間ですので、分かりやすいかも知れません。
マクラメ風バッグを作りたくて、太めの糸で簡単に作りました。
しかし、今日初めてタティングをして、2時間で四つ葉がやっとできた方なら、それをつなぐと考えただけで、もう途方に暮れてしまうでしょう。
掛かる時間を訊きたい心理
よくテーマパークで、待ち時間90分とか書いてありますが、それに対して怒る方はあまりいません。
待つ時間も楽しんでいますし、待った後もっと楽しいことがあるのを知っているからです。
しかし、電車やエレベーターが止まってしまった時、すぐに係員に怒鳴り散らす方がいます。
『どのくらいかかるんだ!』
いや、原因を調べてみないと、修理にかかる時間はわからないと思いますが…
人は、不確かで、楽しめない待ち時間にいら立つようです。
でも、もしハリーポッターの新刊が出たとき『あなたはそれをどのくらいで読み終わります?』とは訊きませんよね?
大切に一字一句逃さないように読む方、結末が気になってざっと読んでしまう方、仕事の合間に少しずつ読む方、休みの日に一気読みする方など、本の楽しみ方が人それぞれなのを知っているからではないですか?
なんなら早く読み終わらないためにわざと遅くしたり、途中何回も戻ったりしてゆっくり読む方もいらっしゃるのです。
タティングに掛かる時間
ではなぜタティングは、どのくらい時間が掛かるの?と訊かれるのでしょう。
単に、難易度を訊かれていますか?『すぐできますよ!簡単です!』と聞きたいだけですか?
『4日かかります。お仕事をしている方は1週間か2週間かかります。』とは聞きたくはないですよね・・・
ある先生は、ある程度できる方なら、自分ならどのくらいでできるか想像できるよねとおっしゃっていました。
では自分の力量がまだわからないということですかね。
またある先生は、売るために時給の計算をしているのでは?とのことでした。
なるほど・・・仕事として作る方が多いのか・・・
趣味なら先ほどの本のように楽しみ方が人それぞれなのを知っていると思いますので・・・
それともただ趣味にかけられる時間が少ないのですかね。
タティングを仕事にする
もちろん私たちは、作品は売らねども、キットにして販売するため、ある程度元が取れるように製作していますし、何度も同じモチーフをアレンジしていますので、早い方だとは思います。
いつまでに作らなきゃいけないと期限があったり、作業時間が足りないときは、画像を撮るためだけなら、片面しか作らないこともありますし、糸始末をしていないこともあります。
『作品を売ればいいのに。みんな売ってるわよ。ピアスを3000円とか、5000円とか・・・』と言われますが、売るほど作れると思いますか?
東京でお店を借りて、光熱費やアルバイト代をかけています。
タティングのアクセサリー作家さんで、そんな方はいらっしゃいますか?
まとめ
youtubeでスイスイシャトルを動かしている方を見れば、憧れると思います。
でも作品には製作時間は書いてありませんから、みなさんは丁寧に作ってください。
早いより、きれいに作る方がいいのですから。
タティングを趣味で作る方は、他の方の製作時間は気にせず、ご自身にストレスがかからないようなペースで作っていただければいいと思います。
そしてお仕事の方は、ご自身の時給が取れるように販売価格を考えて作って欲しいなと思います。
東京の最低時給は1072円(令和5年5月時点)ですからね(^_-)-☆
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