ドイリーのドイリーによるドイリー・~ドイリーって何でしょう~

カルチャー

赤い本 Tatted Treasures (Jan Stawasz)

黒い本 Tatting Theory and Patterns (Jan Stawasz)     

タティングの本によく”ドイリー”というものが載っていますが、この”ドイリー”とは何でしょうか?

お店でもよく聞かれますのでお話しします。

ドイリーの起源

ドイリーの起源につきましては、アンティーク関係のいろいろな本に載っていますが、Wikipediaにまとまっているので引用します。

ドイリー(Doiley)とはイギリスのドレーパー(服地屋, 反物業者。あるいは衣類小売商人)で、「『安価であると同時に上品な』羊毛物を、17世紀後期に夏着に導入し」、一般にひろめた。

 当時は、「doily stuffs」(ドイリー物)や「doily suit」(ドイリーひと揃い)などのように、形容詞として使用されていた。

のちに、用法は、「ドイリー・ナプキン」(“doily-napkin”)として知られる「デザートで使用される小さな装飾用ナプキン」への言及に移った

Wikipedia『ドイリー』ページより

”ドイリー”という洋品店の店主、”ドイリー”さんが考案した、フィンガーボウルやデザート皿の下に敷く敷物のことを”ドイリー”と呼んでいましたが、 いつしかテーブルを飾る様々な布や花瓶敷きなどの敷物の総称として”ドイリー”と呼ばれるようになったそうです。

人の名前だったとは…!

テーブル全体のカバーはテーブルクロス
テーブルの真ん中に飾る細長い布で、テーブルから垂れ下がるのがテーブルランナー
垂れ下がらないのがテーブルセンター
テーブルの短い辺の方に掛けるのがブリッジランナー
一人用はランチョンマットやナプキン、コップの下がコースター…

それ以外の敷物はみなドイリーさんのドイリーなんですね!

ドイリーにまつわるもう一つの秘密

The art of tattingより

それともう一つ!

装飾機能にくわえて、ドイリーは、家具調度を保護する役割がある。椅子の背もたれと肘掛けを保護するために用いられた場合、それらは、マカッサル油(整髪用)による汚れを防ぐ覆い(antimacassar)として役だった。

Wikipedia『ドイリー』ページより

なんともダサいと思っていた、応接間の椅子のレースのカバーは、おじさんの髪の油の汚れを防ぐものだったとは

というかこれはもう最近見ませんね・・・

絶滅危惧種のドイリーを救え!

ちょっと前は「タティングでアクセサリーもできるんですか?」「ビーズも入れられるんですか?」と訊かれましたが 、ここ何年かのタティングアクセサリーブームで、もはや 「タティングって大きなものも作れるんですか〜?」 に変わりつつあります。

飽きずにコツコツ繋げていけば、簡単なデザインでも素敵なドイリーができるのに、 時間がかかるからとか、使わないからと敬遠される方が多いようですね。

使わないから・・・とドイリーを作らないでアクセサリーばかり作っていたら、本来のタティングの文化が廃れていってしまうのではと危惧しています。

では、どうしたらいいでしょうか。

ドイリー真ん中開けただけ『ティッシュボックス飾り(ケース・布カバーは付きません)』キット

1939年発行 Tatting BOOK.No.141 OccasionalDailyの楕円形ドイリーの真ん中のラインをつながないで開けただけのティッシュボックス飾りです。

これは簡単な例ですが、バッグやポーチにする、服に付ける、帽子にする、など敷物にするだけでなく、使えるように変化させてみるのもいいかもしれません。

素敵な活用法をご存じの方はぜひ教えてくださいね。

変化させる前に、基本のドイリーを作ってみよう

リングだけの簡単なドイリー『クッカ・メッツア』

2022年6月プレミアム会員様用無料PDF

直径12㎝ 

レッスンで『ドイリーは使わないから作りたくない』という生徒さんに『使う使わないではなくて、タティングの練習のために作りましょう』と先生がおっしゃっていました。

タティングを知るには、まずドイリーを完成させてみるのが一番かもしれません。

最近、ドイリーの本がちょこちょこ出ていますし、もちろんドイリーのキットも、当店にはたくさんあります。

2か月も3か月もかかるようなドイリーではなく、2~3日でできる15㎝弱のものもありますので、変化させる前にまず、基本のドイリーにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

ドイリー特集はこちら

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