オリジナルのデザインを作ってみたい・・・これはハンドメイドをする人の夢でもあります。
教わらなくてもサラッと初めからオリジナルデザインができるような天才を除き、一般には、見たもの、作ったものの積み重ねと、その組み合わせ、組み替えによってできていくものです。
デザインとは、センスなどだけではなく、技術とマーケティングのバランスの上にあるものなのです。
デザインができるようになるには
タティングに限らず、デザインができるようになるには、たくさん作ってみて、色々な作品を見たりすることが大切です。
・基本を練習して、本やキットの作品をたくさん作ってみる
まず基礎ができていないとオリジナルのデザインもできません。
本の作品を図面通りに作れることがデザインの第一歩です。
それもできない場合、アレンジも怪しいですので、オリジナルにこだわらず、まず図面通りにできる技術を先に磨いてください。
・糸の太さや目数を変えてみて、大きさを変えたり、色を変えて印象の変化を見る
基礎ができたら、糸の太さや色を変えたり、アレンジの練習をしてみてください。
コースターがピアスになり、四角のドイリーがショールになり、秋のものが春物に変わります。
それだけでも見た目の印象が変わり、オリジナリティーが出てきます。
100年以上前のパブリックドメインのデザインから、繰り返して襟を作り、その後一部の目数を変えてイチゴを作りました。
パブリックドメインの書籍のデザインを参考にはしたものの、イチゴは全く違うものになったと思います。
・パターンの組み合わせや組み換え、ビーズを入れたりで違うものにしてみる
印象を変えられたら、形を変えることもできるでしょう。
ドイリーをバッグにしたり、襟をネックレスにしたり、モチーフを四角くつないだり丸くつないだりしても違うものができます。
畠山葉子タティングニットシリーズ 【フラワーモチーフで作るタティングレース】
お花のモチーフからラリエットへ、ラリエットからスカーフ、ポーチへとアレンジで進化するデザインが楽しめます。
カーディガンは参考作品です。
・作品にするならこうするだろうと考える
お花や虫や動物を観察したり、流行のファッションや音楽や映画などにも興味を持ってみると、作りたいものが見えてきます。
今まで作ったものを少し変えたら、実現できるかなと考えます。
例えば、この春に遊びに行ったムーミンバレーパークのお花畑が素敵だったので、簡単なお花のドイリーを作りました。
名前もフィンランド語で花の森~クッカ・メッツア~です。(2022年6月のプレミアム会員用フリーレシピ)
デザインと呼べるほどのデザインではありませんが、お店ではかわいいと評判です♪
デザインの仕方のいろいろ
作家さんには、いろいろなパターンがあります。
・イメージの絵を描いてその通りになるように作っていく
アーティスト気質の方はお絵描きや刺繍のように図柄を描き作品を作っていきます。
絵のように作りますので、オリジナリティーが出しやすいと思います。
・手を動かしているうちに何かができて、後から目数を数える
経験豊富な方は、今までのデザインや技法が手にも頭にも入っているので、作っているうちに形になっていきます。
・何が作りたいかが決まっている場合はそのものの形に持っていく
職人タイプの方は、寸法やモチーフの特徴が頭に入っていて、組み合わせていきます。
作りたいものがある場合は、その形にモチーフを落とし込んで数を決め、穴埋めや縁取りを追加します。
・オーダーを受ける
こちらは本来の商業デザイナー気質で、期待に応えたい気持ちが、自分の概念や好みを超越して新しいデザインにつながります。
デザインに役立つもの
デザインをするときにあると便利なものは人それぞれですが、皆さんが使っているものをご紹介します。
・レシピ本
デザインの参考になるものとして本が一番です。
見るだけでもいろいろなデザインが頭の中にインプットされるでしょう。
そして、先生などは、デザインがかぶってしまわないようにリサーチの為に見るという方もいらっしゃいます。
(逆に見ると心のどこかに残ってしまって作品に出てしまうので見ないという方もいます。)
自費出版もたくさんあります。
・お絵描きソフト
有料のIllustratorなどでもいいですし、無料のものでもある程度できると思います。
モチーフを描くこともできるし、横に並べたり、丸くしたり、何等分かにしたりが簡単にできるのでイメージしやすいです。
パッと色を変えることもできるので、作り始めてからあれ?なんか糸の色が合わないということも防げます。
・方眼用紙やガイドシート
パソコンが苦手な方は、方眼用紙で繰り返しの寸法を描いて計ってみたり、丸にするときの等分の見当をつけたりするのに円形のガイドシートが便利です。
タティングレース、クロッシェレース、クンストレースなどの円形のレースの仕上げに便利なガイドシートです。
アイロンやスチームで形を整えるときのガイドになり、美しい作品作りをサポートします。
デザインの落とし穴
・著作権や意匠権が気になる
タティングは単純なデザインの繰り返しの場合が多いですので、1から自分で考えたとしてもどこかで見たようなものができることがあります。
また、お花や動物の場合は元の形や色がありますので、似やすいです。
単純なデザインの場合、意匠権なども取りづらいと思いますので、似ていても気にすることはないと思いますが、全く同じ目数でコピーをされた場合は、著作権のことを知らない場合もあるし、本当に1から考えている場合もありますので当人同士での話し合いが必要です。
※作家を名乗るなら、全くのコピーは恥ずかしいのでやめましょう。
時間がかかるので、飽きたり、思ったように仕上がらない
いいと思って始めても、寸法が合わなかったり、思ったのと違っていたりします。
時間がかかるものなので、もったいないと思っても、ずれたりお椀になっている場合はそのまま進めてもうまく仕上がりません。
色や形に納得がいかず、気分が乗らない場合もあります。
そんな時は思い切ってやめてみたり、時間をおいてみたりした方がいい場合もあります。
デザインを習いたい
よくレッスンでも耳にしますが、10年くらい通った気心知れる先生なら、別コースで教えてくれるところもあるでしょうが、デザインというのはその先生の要の部分なのでデザインを教わるというのは難しいかもしれません。
一つ方法としては、モチーフを教わったなら『このモチーフでポーチを作りたいけど、どのようにしたらよいか』と具体的に相談するのがいいと思います。
デザインがしたいと思う前に
スカーフの本ありますか?とよく訊かれるのですが、スカーフの編み図なんて1冊の本に1つあればいい方です。
でももしあなたがその気なら、どんなモチーフも、どんなエジングも、繰り返すだけでスカーフにすることができます。
同じように、アクセサリーの本がなくても、古いモチーフやエジングの本の作品でも金具をつけたりリボンをつけたりすればアクセサリーになります。
初めから全て完璧に用意されていなくても、あなた次第でいろいろなデザインに変化できるのです。
見本と同じだけでなく、これはこうしたらあれになるかな?と夢を膨らませ、出来上がりを想像するということも、勉強のひとつではないでしょうか。
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